北海道大学 大学院環境科学院 環境物質科学専攻 大谷研究室 博士後期課程3年
新田 明央 さん(神奈川県出身)
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専門研究
金属酸化物粉末の同定および構造評価を目的とする、金属酸化物粉末の表面にある電子トラップ密度のエネルギー分布(ERDT)に着目した測定法、逆二重励起光音響分光法の開発
●応募の動機
さまざまな物質科学研究者と出会い 専門研究の応用に活かしたい
明治大学理工学部に在籍中に研究テーマだった光触媒についてより深く学びたくなり、その分野の第一人者である本学の大谷文章先生の研究室に進学を決めました。リーディングプログラムに応募した理由は、物質科学に重きを置いたプログラム構成だったからです。自分が研究開発していた金属酸化物粉末、酸化チタン・酸化タングステンの同定と構造評価法を今後、他の無機材料に応用していくためにも、さまざまな分野の物資科学の研究者と関わる機会が持てる履修内容に魅力を感じました。
個人的には旅行が好きなので、海外インターンなどが充実していて学びながらいろいろな土地に行けるところにも興味がわきました。
趣味は写真。海外に行く機会が増えて一眼レフを購入した。海外インターンで訪ねたパリの夜景。
●リーディングプログラム学生会議
学生会議の渉外役を引き受け 「人に振る」チーム運営のコツを体得
毎年持ち回りで開かれる全国博士課程教育リーディングプログラム学生会議では、2015年のときに渉外部長を務めました。北大OBの毛利衛さんをはじめ特別講義のゲストの方々をお招きするやりとりが難しくもあり、楽しかったです。
それまでは「自分で出来ることは一通り自分でやってみよう」と考えていましたが、こういう100人以上の大イベントを経験すると、「それは無理だし、運営にも差し支える」ことが実感としてわかります。メンバーの適性やタイミングを見ながらどんどん役割を振って、自分は全体の状況を把握する。個人プレーの限界とマンパワーから生まれるチーム運営の面白さに気づくことができました。
学生会議に招いた講師やゲストの方々との記念撮影(本人右端)
●数理連携
数学者の視点がヒントとなり 専門研究がさらに前進
異分野交流のなかでも数理連携の視点を持てたことはとても貴重な経験でした。フロンティア数理物質科学IIIのレポート提出では、数学専攻の同期にサポートしてもらいながら、自分なりに数学的な思考の道筋をたどることができたと思います。
数学研究者の黒田紘敏先生からは何気ない雑談のなかで「その計算は微分にしてみたら?」とヒントをいただき、異なる金属酸化物粉末がどの程度一致しているかを定量的に評価する計算式に利用することができました。リーディングプログラムに入っていなければ直接話す機会もなかったであろう数学者との出会いが、数学的視点から物質化学の研究を進めていくきっかけとなりました。
●目標とする将来像
企業インターンでマッチング 夢は海外拠点へ!
企業インターンと言うと、“広く浅く”指示通りの業務を体験して終わりかなというイメージを抱いていましたが、僕が行った昭和電工では事前に燃料電池用の触媒づくりから評価までの一連の実験計画を組んでくださり、インターンも研究者の1人として手厚く迎えてくれる企業姿勢に感動しました。その気持ちに応えたくて、最後にいただいた成果発表の時間では自分の光触媒研究と結びつけた新たな研究課題を提案したつもりです。
その後は通常の就活の手順を踏んで、昭和電工から内定をいただきました。将来はリーディングプログラムで培った異分野交流の視点を活かし、海外の開発拠点でも活躍できるようになりたいです。
※所属・学年等は2018年3月現在のものです。