味の素株式会社 イノベーション研究所 ホワイトバイオ研究グループ
正瑞 文 さん
北海道大学大学院工学研究科 生物機能高分子専攻 博士後期課程修了
●現在の仕事内容とやりがい
商品化を目指して 新規プラスチックを合成
プラスチックモノマーの微生物発酵による生産と、これを原料とした新規プラスチックの合成、特性評価を行っています。発酵と有機・高分子合成の両方を担当しているので、求められる知識が多く勉強の毎日ですが、勉強しただけ仕事が進捗し、商品化の可能性が高まるのでとても面白く、充実しています。
●大学院での研究テーマ
生分解性プラスチック 合成酵素の機能改良
工学研究科生物機能高分子専攻のバイオ分子研究室に所属していました。生分解性プラスチック合成酵素を導入された組み換え大腸菌は、体内で生分解性プラスチックを合成します。これを効率良く作らせるための、大腸菌への新しい代謝経路の組み込みや、生分解性プラスチック合成酵素の機能の改良をテーマに研究を行っていました。 非常に忙しい毎日でしたが、自然豊かな大学構内を行き帰りするだけでも大きな気分転換になりました。博士課程に進学した際には、工学部が参加しているグローバルCOEプログラム等を利用させていただき、研究費や海外学会への参加費など、多くの経済的支援をいただけたことが大変ありがたかったです。
●博士取得のメリット
気力体力計画力に指導力、 隣の研究室の基礎知識も
博士号を取得するには既定の論文数という明確なアウトプットが求められます。数多くの実験で体力と精神力、効率良く結果を得るための計画力が鍛えられ、論文執筆では知識をより深めることができました。修士・学部生の後輩を含めたチームの中ではまとめ役として指導方法や、やる気を高めてもらう方法を考えたこともいい勉強になりました。また、生物機能高分子専攻は有機・高分子・微生物の多様な研究室が混在していたので、様々な分野の基礎知識を得ることができました。これらの全てが現在の仕事に大きく役立っています。
●理想のリーダー像
ゴールに至るまでの 道筋を複数持っているか
リーダーには「ゴールを明確に示せること」「ゴールに至るまでの道筋を複数持ち、状況に応じて選択できること」が必要不可欠です。他社より早く優れた結果を出すためには、チーム全員の目標を一つにしなければなりません。そのためには「いつまでに」「どれくらい」の結果を出さなければいけないのかを、納得できる理由を持って示すことが重要です。実験を例に挙げると、実験結果が想定の道筋を大きく外れた時に、迅速に代替案を示せるか、同時にその結果をどう生かせるかを、リーダーは常に問われているように感じています。
※所属・役職等は2014年3月現在のものです。