平成28年10月13・20日に、編入2期生および3期生を対象とした、Ambitious研究倫理セミナー専門職倫理ワークショップを開催しました。本ワークショップは採用式における研究倫理セミナーのフォローアップであり、反転学習およびワークショップの形式で研究倫理に対する理解を深め、今後研究活動を進めるうえで、倫理的な問題に巻き込まれた際に、最悪の事態を避けるための考え方を身につけることが目的です。
写真:講師を務めた眞嶋俊造先生
講師は眞嶋俊造先生(文学研究科)が務め、ワークショップの進行役であるファシリテーターは、古澤輝由先生および種村剛先生(ともにCoSTEP)と北原圭先生(本プログラム)が担当しました。学生達はこのワークショップに先立ち、動画により研究倫理を事前に学習しました。当日は、眞嶋先生に対する予習内容の質疑応答から始まり、ウォーミングアップとして「使用済みの割り箸の利用方法」についてワークショップ形式で議論を進めました。
写真上:グループに分かれて議論する様子
写真下:議論した内容を発表する様子
その後、研究倫理問題の仮想事例として「旨塩キャベツ(飲食店で廃棄キャベツを利用する所を目撃したバイト)」「ブラック研究室(研究室内でデータの捏造と思われる行為に出会った学生)」を考え、以下の流れで取り得る行為についての議論を行いました。
①倫理問題の所在を明らかにする
②関連事項や関係者(ステークホルダー)を特定する
③想像力を活かし思いつく限り多く(最低5以上)取りうる行為の選択肢を挙げる、
④リアリティチェックにかける
⑤それぞれの行為を倫理テストにかける
⑥時系列でそれぞれの行為の優先順位をつける
上記の流れで倫理的に許容され、また実際問題として取りうる可能性のある行為を可能な限り多く考え、「その行為は倫理的に推奨・許容されるか?」という倫理テストの進め方を学びました。本ワークショップを経験しておくことで、実際に同様の問題に関わってしまった際に、取り乱して最悪の行為を選択してしまうのではなく、まずは倫理テストのことを思い出し、冷静に取り得る行為を考えることが出来るようになってほしいと思います。
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●誤った倫理的判断を行わないための思考プロセスを学んだ専門職倫理ワークショップ●
報告:リーディングプログラム3期生 大塚 海
今回のセミナーでは、今まであまり意識することのなかった「研究倫理」について、実際に身の回りに生じ得る事例を基にして、少人数のグループでディスカッションすることで解決策を導き出すことが求められました。セミナー受講前は、研究倫理が求められるような状況というものは特殊な状況であり、自分とはあまりかかわりの無い問題であると認識していましたが、セミナー中で扱った問題が「身の回りに起こりうる」状況であることが前提であったため、研究倫理に対する理解というものは、研究に携わる万人に求められるものであるということが改めて認識させられました。
今回のセミナーのように、倫理的問題に直面した際に複数人数で解決を試みることが出来れば、誤った状況判断をすることは可能性として非常に小さくなるのではないかと思います。しかし、実際に問題に直面した時に、必ずしも問題を共有できる相手がいるとは限らないため、今後研究を行う上で、今回のセミナーを通して学習したような、誤った倫理的判断を行わないための思考プロセスを常に意識し、「もしも」の場面で実践できるようにしていく必要性を感じました。
報告:岩佐 豪(リーディングプログラム協力教員・理学研究院助教)
大塚 海(リーディングプログラム3期生)
構成:リーディングプログラム事務局工学分室