2017
09.29

西谷 雄大さん プログラム生紹介 #008 
北海道大学大学院総合化学院 構造化学研究室

数理連携プログラム生紹介Voice海外渡航支援研究アウトリーチ演習

西谷 雄大さん プログラム生紹介 #008 <br />北海道大学大学院総合化学院 構造化学研究室

北海道大学 物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム1期生(平成26年度)に採用されている西谷雄大さん。現在博士後期課程2年に在籍し就職活動を行っている西谷雄大さんの4つのアピールポイントを紹介します。

1. 研究生活で培った高い専門性と根性を持ち合わせています!

私は生物化学系の研究室に所属し、哺乳類の細胞内で鉄の量を制御している IRPs (Iron Regulatory Proteins)と呼ばれるタンパク質の機能解明を目指した研究を行っています。修士課程までの時点で、IRPs の機能が細胞内で制御されるメカニズムの一端を明らかにし、博士前期課程1年次にはポスター賞を受賞するなど一定の評価をいただくことができました。しかし、博士後期課程に進学後は思ったように結果が出ずに研究が進まない時期もありましたが、諦めずに努力を続けました。また、研究室内外で議論したり、研究交流等の意見をいただく機会に積極的に参加することで、行き詰まりを打開し少しずつですが前進することができました。こうした研究生活を通じて、私は諦めないで取り組む根性と、困難な状況でもたくさんの人とコミュニケーションをとることで乗り越えられるという自信を身につけることができました。


図:哺乳類の細胞内で鉄の量を制御している IRPs (Iron Regulatory Proteins)と呼ばれるタンパク質の制御機構


写真:リーディングプログラム主催 第3回国際シンポジウムでポスター発表賞を受賞した西谷さん(左から2番目)

2. 研究室内外での活動で幅広い知識と論理的思考力を身につけ、さらに研究者ネットワークも形成することができました。

私の所属する構造化学研究室では、私の研究テーマ以外にも多くの分野・テーマがあり、研究室内で行われるセミナーなどで積極的に議論に参加することで、生物化学分野に関して幅広い知識を身につけることができました。加えて、大学院で開講される集中講義やセミナーにも積極的に参加し、自分の研究分野だけでなく視野を広げて学んでいくという姿勢を大事にしています。こうした経験と姿勢から、現在私は研究者団体「生化学 若い研究者の会」の北海道支部長として活動し、北海道内の生命科学系の学生が集まる研究セミナーなどを企画しています。異なる学科や大学の学生と数多く交流したり深く議論することを通して、幅広い知識や論理的思考力を身につけ、さらに研究者ネットワークを形成することができました。支部長として組織のマネジメントやイベントの企画・運営、会議を経験することができ、社会へ出てから役に立つ多くのことを学ぶことができました。

3. 多彩な国際的イベントに取組み、世界各国の学生や研究者と研究に関して議論できるほど語学力がつきました。

本プログラムの支援を利用して、語学研修やサマースクール、合同シンポジウムなど多彩な国際的イベントに取り組みました。博士前期課程2年次にはオランダのユトレヒト大学に2週間滞在し、‘Exploring Nature’s Molecular Machines’ Utrecht summer school に参加しました。座学や実験、計算などの実習を通して生化学・細胞生物学に関する専門分野の概念や最先端の実験手法を学ぶ貴重な機会でした。
ほかにも、北海道で開催された本プログラム主催の国際シンポジウム、フランス・ストラスブール大学で行われた合同シンポジウム、オーストリア・リンツで開催されたヨハネス・ケプラー大学との合同シンポジウムなど、海外の大学と研究交流する機会に恵まれました。これらの経験によって、初めは得意ではなかった英語での会話も、世界各国の学生や研究者と研究に関して議論できるまでにスキルアップし、自分の成長を感じています。現在も、将来海外で活躍できる人材になるため日々鍛錬を続けています。


写真:(左)オランダ・ユトレヒト大学で行われたサマースクールでの記念の一枚。一番左が西谷さん
   (右)フランス・ストラスブール大学で開催された合同シンポジウムで発表する様子

4. リーディングプログラムの活動によって、数理科学の視点とコミュニケーション力を備えた人材へ!

本プログラムの特色の一つとして、俯瞰力を身につけるための数理連携カリキュラムが挙げられます。私は博士前期課程2年次に行われる Qualifying Examination 1で数理連携課題の提案を試み、細胞内で鉄量が変化した際に IRPs やその他の関連するタンパク質量がどのように時間変化するかを数学的に解き明かす研究を提案しました。この経験から、数学を用いて解決できる問題の広さを知り、数理科学の視点を身に付けることができたと感じています。
科学技術コミュニケーションの学習を通して科学倫理観を醸成することも、本プログラムの特色として挙げられます。これに関して私は、他のプログラム生と一緒にフィリピン大学のサイエンスイベントに参加し、実験教室を通して現地の学生に、体内での鉄の吸収やその効率化を理解してもらうというアウトリーチ活動を行いました。言語や文化が異なる国でアウトリーチ活動を行ったことで、相手をよく理解し、熱意をもって説明を行うことで言語の壁があっても伝えられるという経験をすることができました。このアウトリーチ活動の事例を社会で役立たせるために、現在チームメンバーとともに論文を執筆しており、科学技術コミュニケーション誌に投稿する予定です。


写真:(左)後輩のプログラム生の前で、数理連携提案の説明をする西谷さん
   (右)フィリピン大学のサイエンスイベントでアウトリーチ活動を行う様子

■受賞
3rd International Symposium on AMBITIOUS LEADER’S PROGRAM, (Hokkaido University, Sapporo, Japan), 2015 Poster Award
第24回金属の関与する生体関連反応シンポジウム (京都) 2014年 ポスター賞

 ※所属・学年等は2017年9月現在のものです。

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