平成27年度、博士後期課程1年に在籍するパイロット生8名が、海外の大学等研究機関への「海外インターンシップ」と国内連携企業への「企業インターンシップ」を行いました。今回は、3名のパイロット生が取り組んだインターンシップを紹介します。
●新しい解析手法の有用性を実証できたインターンシップ●
報告:リーディングプログラムパイロット生 Y.S.
▪インターンシップ先:University of Sydney (Leo Radom教授)/オーストラリア
▪期間:平成27年11月(日数:30日)
▪研究テーマ:反応経路自動探索法と反応速度解析を応用した質量スペクトルシミュレーション手法の開発
▪レポート:Prof. Leo Radom研究室での研修を通じ、海外研究室との共同研究の方法について学ぶことができました。また、受け入れ研究室が対象としている「マススペクトルのシミュレーション」の視点を新たに取り入れることができ、研究の幅を広げることにもつながりました。研究は研修後も継続して進め、平成27年12月にPacifichem2015(環太平洋国際会議2015)でディスカッションを行いました。現在は論文の執筆を進めています。
写真:(左)シドニー大学の顔、グレートホール。(中央上)Leo Radom教授とのツーショット。緊張しています。(右上)オケとの合同練習の様子。休日は現地の合唱団の練習に参加していました。音楽を通じた交流も行うことができました。(右下)オーストラリアのシンボル的な世界遺産、オペラハウス。フェリーの上から写真を撮りました。演奏会を聴きに、度々訪れました。
●現象と数学の理論を行き来する一例を研究できた1ヶ月間●
報告:リーディングプログラムパイロット生 F.N.
▪インターンシップ先:McGill University (Michael C. Mackey教授)/カナダ
▪期間:平成27年11月~12月(日数:31日)
▪研究テーマ:海外での数理連携の視点を学ぶ~生理学に対する力学的アプローチ~
▪レポート:「現象→微分方程式による定式化→離散力学系への変換→離散力学系の理論を用いた解析」
というように、実際の現象から私が研究している離散力学系までのつながりを考えながら研究していく一例を学ぶことができました。テーマを理解し、何が問題かを見つけ出し、それに取り組むことがたったの1か月でやり遂げられたのも、数式と現象を結びつけた理解があったからこそだと感じています。現在は、Mackey先生とメールでやり取りをしながら論文作成に向けて議論を続けています。
▪異文化に触れたゼミスタイル
週に一度のゼミを見学したときのこと。日本では、発表者が前に立って黒板やスクリーンを利用して発表を行いますが、McGill大学では、教員が院生室に赴き、先生と発表者以外の学生が発表者の机の周りに集まります。発表者は机の上でパソコンと計算用紙を用いて発表。発表者は座り、聴講者は立って発表を聞くという形はとても新鮮であり、普段当たり前だと思っているスタイルも海外ではいろいろな形があるのだと実感しました。
写真:(左上)インターンシップ中に通った研究センター。(右上)Michael C. Mackey教授とゼミのメンバー。(左下)お世話をしてくれた院生とその友達。(右下)院生の部屋。
●マンツーマンで指導を受けた触媒開発●
報告:リーディングプログラムパイロット生 A.N.
▪インターンシップ先:昭和電工株式会社・先端技術開発研究所(土気)/日本
▪期間:平成27年8月~9月(日数:49日)
▪研究テーマ:
▪レポート:燃料電池車に使用される固体高分子形燃料電池について、丁寧に文献調査をしながら一連の実験をし、企業の方々と議論することができたのは非常に良い経験となりました。私の他に研修生がいなかったこともあり、実験工程の各担当者にマンツーマンで指導を受けることができた点も恵まれていました。インターンシップ期間中の一連の実験を通して見出すことができた指針や知識を、これから博士論文に活かしていきます。
写真:膜電極接合体(MEA)の評価。
報告:Y.S.(リーディングプログラムパイロット生)
F.N.(リーディングプログラムパイロット生)
A.N.(リーディングプログラムパイロット生)
構成:リーディングプログラム事務局