2016
08.08

総長山口佳三氏,廣川真男氏,西浦廉政氏らによる特別講演会とパネルディスカッションを開催

公開行事講演会数理連携

総長山口佳三氏,廣川真男氏,西浦廉政氏らによる特別講演会とパネルディスカッションを開催

平成28年6月10日に数理連携の第一人者たちを招聘し、数学出身である北海道大学山口佳三総長を交えた講演会とパネルディスカッション「数理科学が創るインクルージョン社会」を開催しました。物質科学における数理連携や異分野融合を目指す際の解決すべき事柄、北海道大学における取り組みの様子などについて会場全体で考えました。

特別講演会では、最初に山口佳三総長から「数式に惑わされるな!「数覚」を養おう」と題する講演が行われ、学びにおける意識改革の重要性が強調されました。学ぶ側には、ネット上で知識のライブラリ化が進む昨今、自分の頭の中に知識を詰め込むのではなく、如何にそれらを統合していくのかという観点が必要であり、一方、教える側には、全てのコンテンツを提供するのではなく、虫食い算のような形で自ら思考するプロセスを促すような教授法の開発が望まれるという趣旨の問題提起がありました。これは、近い将来、多くの職業がロボットに取って代わられるような状況の中で、本当に身に付けるべき能力に直結する問いでもありました。

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写真:「数式に惑わされるな!「数覚」を養おう」と題する講演を行う山口佳三総長。

次に広島大学大学院工学研究院の廣川真男教授による講演「A Mathematical Alien’s Adventure in the Physically Actual World」が行われ、異分野融合研究を実行する際の課題や協同に際したコミュニケーション方法などについて、体験談を交えながら紹介していただきました。必要な科学・技術を身に着けるにはその分野へ飛び込むのが有用であることや、異分野のチームを組むためには各分野の価値観やメリットを把握したチームマネージメントが重要であることを強調されていたのが印象的でした。

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写真:講演する広島大学大学院工学研究院 廣川真男教授。

続いて、プログラム生2名が数理連携活動の紹介、およびそこで感じた異分野融合を推進するための課題点や今後の大学教育に望むことを発表しました。

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写真:異分野融合を推進するための課題点や今後の大学教育に望むことを発表するプログラム生。

最後に、モデレーターとして東北大学原子分子材料科学高等研究機構の西浦廉政教授をお招きし、電子科学研究所附属社会創造数学研究センターの長山雅晴教授、石森浩一郎プログラムコーディネーターを加え、登壇者全員で数理連携の今後をテーマとしたパネルディスカッションを行いました。登壇したプログラム生は、数理連携の重要性を耳にすることは多いものの自分一人での実行は難しく、チームで取り組みやすい環境が必要であると訴えました。登壇された先生方からは北大および他組織における取り組みの様子が紹介され、西浦教授からは若いプログラム生による素直な意見は貴重であり、今後の数理連携には組織的なフォローやその推進のための仕掛けづくりが重要であるとまとめられました。また会場からは山口総長に向けて、リーディングプログラムで実施しているような専門の枠を超えたグループによるディスカッションの機会を、大学全体としてサポートしてほしいと要望が出る一幕もありました。


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パネルディスカッションで聴衆に語りかける山口総長(中央)rs
写真:(上)パネルディスカッションのモデレーターを務めた東北大学原子分子材料科学高等研究機構
      西浦廉政教授。
   (中)リーディングプログラム1期生の陳旻究さんと半田悟さん。
   (下)聴衆に語りかける山口佳三総長(中央)。

大学総長の講演を聴講し議論をするという機会は参加学生にとって非常に貴重なものです。数理連携の最前線で活動されている登壇者の方々からのメッセージを受けた学生たちの今後の活動に期待したいと思います。

2016.6.10フロンティア物質科学 特別講演会
写真:学内に掲示されたポスター。

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報告:黒田紘敏 (リーディングプログラム特任准教授)

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