登壇者全員の仕事内容の紹介を終え、次に語られたのは半導体業界の変化の速さと仕事に向かう心構えについてでした。最先端技術がすぐに陳腐化し、日進月歩で開発競争が激化する世界で、日々どんな挑戦を続けているのか。Part2では、学生時代の研究生活とは異なる現場の様子とその時々の心境を語りました。
超速の業界: 絶え間ない学びと国際的な挑戦
「去年の最先端が、今年にはもう古くなる」――登壇者からの緊張感のある言葉に、参加者が耳を傾けました。
塩沢氏は、開発側が先々のニーズを予想しながらお客様とコミュニケーションする様子を紹介し、「世界と戦うためには、多くの情報の中でどれが正しいか、どれがいけそうかを瞬時に選び取る必要があり、大変だが成功した時のやりがいにつながる」と語りました。松本氏は、Rapidus社での業務を「毎日が新しい挑戦」と話し、2ナノ半導体の量産化という未知の領域の実現に向けて進むタフな姿を見せてくれました。
変化する半導体業界で、常に学ぶことと挑戦する心構えの重要さが登壇者の言葉から伝わりました。

競争とモチベーション ― プレッシャーを期待として受け止める力
厳しい競争の中で、プレッシャーをどう乗り越えるのか――登壇者たちは具体的なエピソードを交えて語りました。
工藤氏は、設計部門にいた頃、競合他社とのコンペで選考から漏れそうになった際に、開発部と一緒になって短時間で分析し性能を底上げして、採用を勝ち取った成功体験を紹介しました。榊氏は、イメージセンサー開発において、顧客のスマートフォンメーカーの「こういう写真が撮りたい」という要望に対して抱くプレッシャーを「期待」として捉え、それをモチベーションにして技術開発を行う姿勢が重要だと述べました。安田氏も「新しい課題に次々と直面するが、解決できた瞬間に得られる達成感は何物にも代えがたい」と振り返ります。
現場のプレッシャーをご自身の成長に変えている姿が印象的でした。

学生へのヒント ― 出会いで変わる仕事の意識
続いてこれまでの「印象的な出会い」についてエピソードを披露しました。
水野氏は「新たに同じ部署に加わった先輩が非常に仕事のできる方で、その人から刺激を受け、今まで以上に真剣に仕事に取り組むきっかけになった」と話しました。年齢の近い先輩との出会いが、自分を成長させる大きな刺激になったといいます。
榊氏は、イメージセンサー開発の現場で「課題が起きたときに、部署を越えて人を巻き込み、旗振りをしてリードしていく人たちがいた。そういう人の言葉や熱意に協力したくなる」と振り返りました。
工藤氏は「入社当初の上司が印象に残っている。結果の報告だけでなく、なぜその結果になったのか、自分が理解しているかを問いかけてくれた」と語りました。その指導が成長につながり、今も自身の指導姿勢に影響を与えているといいます。
現場での出会いがそれぞれの仕事の意識を変えていった様子が伝わりました。

主催:北海道大学半導体フロンティア教育研究機構
共催:北海道大学大学院教育推進機構・北海道大学大学院理学研究院
※肩書、所属は、カンファレンス開催時のものです。