2026年10月2日、大学院共通授業科目「半導体の深層を理解する2026」は美多剛教授(北海道大学ICReDD)を講師に、「半導体の基礎から学ぶ ― なぜ今、半導体が重要なのか、日本再生への道 ―」と題して、行われました。その様子を紹介します。
有機化学を専門とする美多教授は書籍や研究者との対話を通じて、自身も半導体を学んでいるといいます。そのお話は、専門の違う学生も一緒に学び始められる、親しみやすい入口となりました。
授業は、青函トンネルを車で走れるか、という意外な問いかけから始まりました。北海道と本州を結ぶ交通の話から、軽くて小さな半導体を航空機で運ぶ利点へ。千歳でのRapidusの挑戦が、北海道の産業や学生の将来とどうつながるのか。遠い世界のニュースだった半導体が、自分たちの暮らす場所の話として近づいてきます。
そこから話は、原子と電子の世界へ進みます。電気の流れ方を調整できる半導体の性質や、ダイオード、トランジスタの働きが、身近な機器と結びつけて紹介されました。スマートフォンやAIの便利さを支えているのは、膨大な数の小さなスイッチです。手のひらの中で繰り返される「0」と「1」の働きを想像すると、見慣れた端末も少し違って見えてきます。

半導体をつくる工程には、化学の知識も深く関わっています。光に反応する材料を使い、シリコンの上に微細な回路を形づくる技術。その仕組みをたどるお話からは、普段の学びが最先端のものづくりにつながる面白さが伝わってきました。さらに、平面から立体へと構造を工夫して性能を高める技術には、人間の知恵の積み重ねを感じます。
北海道で学ぶ学生にとって、半導体は自分の専門や将来の選択肢と結びつくテーマです。美多教授のお話には、この変化に関心を持ち、学び、関わってほしいという期待が込められていました。専門の外へ踏み出して学ぶ先生の姿そのものも、学生への励ましとなる授業でした。

そして何より印象に残ったのは、笑顔を絶やさない美多教授の、大きな声とあふれる熱量です。学生に何度も問いかけ、技術のすごさを楽しそうに語る姿に、こちらまで引き込まれます。そのエネルギーに圧倒されるうちに、教室もだいぶ暑くなったように感じられました。