世界を大きく見つめ、己の世界観を確立する
久保 英夫
プログラム副コーディネーター
大学院理学研究院 数学部門 教授
剣道や茶道の修業には「守破離」という概念があり、師の教えに忠実な「守」から始まり、他流派から学ぶ「破」を経て、最終的に自分独自のものを確立する「離」を目指すとされています。優れた研究もこの流れと同じように諸科学連携、異分野の融合から得られています。異分野の研究室を訪ねる“武者修行”は皆さんの知見や視野を広げ、専門分野が異なるメンバーとの共同作業は新しい価値や哲学を受け入れる柔軟な思考を育みます。広い視野は深い理解にもつながり、未知のものへの好奇心が生涯学び続けようとする自身の成長につながっているのです。こうした分野横断的な学びを経て得られる力は、物事の構造を俯瞰的にとらえ、大きな絵を描く力であり、チーム内の異なる能力を調和させる力。どちらも社会に出た後さらに必要とされ、皆さんの背中を力強く押してくれるものになります。本プログラムを通して世界を大きく見つめたうえで、自分を見つめ、己の世界観を確立していく。これから皆さんが切り開いていく物質科学の「守破離」に期待しています。