ファカルティ・ディベロップメントという言葉をご存知ですか?ファカルティ・ディベロップメントとは、教育を改善することを目的として大学が主体的に行う様々な取り組みのことで、長いのでFDと略されます。北海道大学では、FDの一環として、教員向け研修会が頻繁に開催されています。
私たちALP教員は、このような研修会に積極的に参加することにより、絶えず最先端の教育手法や理論を取り入れる努力をしています。ここでは、ALP教員が最近受講した研修会(一部は学生も参加可能)のいくつかを紹介します。
2月の土曜日を利用して開催された「PBL実践のためのファシリテーター養成講座(主催:生命科学院・先端生命科学研究院、理学研究院、創成研究機構URAステーション)」は、全3回、合計24時間に及ぶ大規模な研修会です。PBL (Project Based Learning)とは問題解決型授業のこと。講師の長尾彰先生(NPO法人 Educational Future Center)は、教育学と組織開発の専門家です。研修会は講義と演習形式で行われ、PBLを効果的に進めるためのファシリテーション理論、ワークショップ型授業のデザイン方法、および授業の評価項目設計方法を学びました。最終日には、実際にPBL形式の授業のシラバス(+コマシラバス)を作成する演習も行われました。
写真:(左)演習でPBL型式の授業のシラバスを作成中のALP教員。(右)講師の長尾彰先生が実践的なアドバイスをしてくれます。グループで話し合いを重ねていくうちに、内容がどんどん洗練されていきました。
3月中旬に開催された「研究者のためのスキルアップセミナー:研究者のための思考整理術(主催:大学力強化推進本部、創成研究機構)」では、頭の中で考えていることを絵として表現する「マインドマップ」という手法について学びました。講師の倉橋竜哉先生(アイネスト株式会社)は、マインドマップ教育の第一人者。実習では、受講者が実際にマインドマップを描く機会もありました。マインドマップを描くことは、発散しがちな思考を整理しつつ、そこから新たな発想を生み出すために非常に効果的であることが実感できました。
写真:研究者のためのスキルアップセミナーの様子。倉橋先生は、「マインドマップはコンピューターで作成することもできるが、手書きの方がより効果的」といいます。中心に絵を描き、そこから連想する概念を単語で放射状に繋げていきます。
同じく3月中旬に開催された「理学部・理学院・生命科学院・総合化学院合同FD研修会」は、理学部関連部局がFD活動を強化することを目的として開催した勉強会です。冒頭では、石森浩一郎ALPプログラムコーディネーターが講演。先日ALPが主催したFD活動である「ファシリテーション講習会」の成果報告を行いました。続いて、学生のメンタルヘルスに関する講演と、理学研究院におけるアクティブラーニングに関する講演2件も行われました。アクティブラーニングに関する講演では、「ファシリテーション講習会」で講師を務めた内田ダン龍之介先生が、アクティブラーニングにおけるファシリテーションの重要性について講演を行いました。ダン先生の講演の最後には、参加者が小グループを作り「ミニブレインストーミング」を体験する機会もあり、教員同士がアクティブに学び合える貴重な場となりました。
写真:(左)FDへの取り組みについて報告する石森浩一郎ALPプログラムコーディネーター。(右)アクティブラーニングに関する講演を行う内田ダン龍之介先生。
※ALP:物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム
報告:ALP教員 北原圭