物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム(ALP)では、新時代を先導する研究者を育てるべく2回目の国際シンポジウムを平成26年12月11日(木)12日(金)に開催しました。コンベンショナルなシンポジウムのほか、リーディング生が主体となって英語だけで運営するポスターセッションとワークショップも併催し、多様なシーンでの言語運用能力の向上と圧倒的専門力の英語化を目指しました。
海外から参加の大学院生15名を含む140名余が参加した初日のシンポジウムは、山口佳三総長の冒頭挨拶から英語でスタート。 “Ambition Across the Disciplines”というテーマにもとづいて仏ストラスブール大Elena R. Savinova教授、国立台湾大Wen-Chang Chen教授、Jye-Shane Yang教授、シンガポール国立大Jun Li教授らが学術分野を超えた視野にて世界の最新研究を紹介し、理想とするリーダー像をリーディング生に伝えました。それに応じる形で北大からは黒田紘敏特任准教授(ALP)、越崎直人教授(工学研究院)、中島祐助教(先端生命科学研究院)、梅澤大樹准教授(地球環境科学研究院)が数理連携と物質科学の研究成果を論じました。ディスカッションでは学院の枠を超えた5つの専攻が参加する本プログラムならではの多様な切り口での議論が展開され、リーディング生からの問いに講演者が窮する場面も見られました。
夕方からは定山渓に移動しポスターセッションとワークショップを開催。リーディング生と海外から参加した大学院生の交流の場も兼ねたポスターセッションは、参加者全員での会場設営から和気あいあいとした雰囲気に包まれ、予定を大幅にすぎて真夜中まで続きました。翌日は朝から英語でディスカッションするPBL型ワークショップを開き、映画「ミクロの決死圏」を題材にALP教員のファシリテーションで科学技術の社会への適用のあり方について多様な議論を闘わせました。最後は藤吉隆雄特任准教授(ALP)による “ミクロの決死圏の原案は鉄腕アトムだった”とのミニレクチャーを実施。互いの文化の影響やグローバルな権利ビジネスの問題を考える契機となりました。
写真左:ポスターセッションでは異分野の研究者に対して自身の取り組みをアピール
写真右:海外からの大学院生と白熱した議論を展開したワークショップ
これらの取り組みは、専門力の深化にとどまらず、科学技術倫理、文化の多様性への理解など、物質科学のグローバルリーダーたる素養を獲得するために役立ったことでしょう。このシンポジウムの実現に向けて教員陣はファシリテーション研修に取り組むなどし、周到な準備を目指しました。新たな発想による効果的な大学院教育プログラムの開発を、本プログラムではこれからも進めていきます。
報告:中冨晶子(リーディングプログラム特任准教授)