旭化成ケミカルズ株式会社 樹脂総合研究所所長 機能樹脂技術開発部部長
七澤 淳 さん
北海道大学大学院工学研究科 合成化学専攻 修士課程修了 芝浦工業大学大学院 博士課程地球環境システム専攻修了
●現在の仕事内容とやりがい
社会や技術の変化を先取りし 未来を作る樹脂開発を指揮
私が旭化成ケミカルズに入ったのは1979年のことです。ABS樹脂、ポリスチレン、ポリアセタール、変性PPE樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデンの開発及び樹脂フィルム、樹脂発泡体の開発研究に従事しました。 2011年4月から現職に就き、旭化成が扱う樹脂全般の技術開発の指揮を執っています。着想から製品化まで時間のかかる研究の成否を分けるのは、社会や技術の変化を先取りする力です。情報を集め、想像力を働かせて未来を描き、テーマを見定める緊張感がやりがいです。
●大学院での研究テーマ
高分子の合成に取り組み オフは人生を語り合う
北大の修士課程では「環化重合法によるクラウンエーテル環を有する高分子の合成」について取り組み、カナダ・マクマスター大学で「超微細粒子よりなるラテックス合成」を研究。その後芝浦工業大学大学院での「材料界面のミクロ・モルフォロジーの解析とリサイクル材料に関する研究」で博士号を取りました。 北大は大都市札幌の中央に位置しながら校内に豊かな緑があります。都市機能と緑どちらも満たされる大学は多くはありません。大学でしっかり研究し、夜は友と人生を語り合う。素晴らしい環境です。
●博士取得のメリット
人事異動にも動じない 応用の利く基礎修得の証し
会社には人事異動があります。テーマや担当領域が変わるたびに一から勉強し直しでは間に合わない。異動後に最短期間で一通りのことを理解するには、その分野に共通する基礎をしっかりと理解していることが遠回りのようで近道です。学位を目指すとは、そうした応用の効く基礎を身に付けること。困ったときに専門家と相談する際にも、学位が相手に信頼感を与える有効なパスポートになります。
●理想のリーダー像
博士課程で鍛えられる力で 柔軟な発想が持てるリーダーに
私が手本としたいリーダーの方々に共通している点は、頭の良さだと思います。頭の良い人は発想が柔軟で、思考が「途切れる」ことがありません。 その柔軟さの背景にあるものは豊富な知識と、受け売りではなく自分の言葉で考える習慣、そして自分を外から客観視するまなざし「メタ認知力」。まさに博士課程で鍛えられる事柄そのものだと思います。
※所属・役職等は2014年3月現在のものです。