2017
01.11

小島 遼人さん プログラム生紹介 #001 
北海道大学大学院総合化学院 有機元素化学研究室

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小島 遼人さん プログラム生紹介 #001 <br />北海道大学大学院総合化学院 有機元素化学研究室

北海道大学 物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム初年度(平成25年度)に採用され、現在、博士課程2年に在籍し就職活動中の小島遼人さん。小島さんの4つのアピールポイントを紹介します。

1. 日々の研究活動や本プログラムの活動で培った高い専門性を武器に、新たな研究テーマの立ち上げに成功!現在論文を執筆中。

私はこれまで、“銅触媒を用いた新規ホウ素化合物の合成”というテーマで研究を行い、博士課程の前半で査読つき英語論文を2報報告しました。有機ホウ素化合物は、ノーベル賞受賞反応である鈴木カップリング等に用いられる、非常に有用な反応剤です。
その後、博士論文に向けた研究テーマを設定するにあたり、これまで得られた銅触媒の知見を利用できないか考えたところ、医薬品や材料科学等で重要な化合物である、有機フッ素化合物の合成に応用できるのではないかと考えました。このテーマを指導教員の先生に提案したところ、同意を得られ、研究に着手した結果、従来法よりも効率的なフッ素化合物の合成法を新たに見出すことができました。現在は実験と論文執筆を並行して行っています。この研究が順調に進めば、医薬品の合成がより効率化する可能性があります。
最初この研究テーマに取り組んだとき、当初の狙いの反応とは違う反応が進行していたのですが、何が生成しているのか、注意深く観察した結果、当初の計画で目標としていた化合物よりも有用性の高い化合物が生成していることが分かり、1つの新しい研究テーマを立ち上げることができました。

2. 専門の有機合成化学に、数理的な考え方を取り入れ、量子化学計算に挑戦!合理的な反応デザインに挑戦中。

専門性を活用する研究に加えて、異分野融合型の研究にも取り組んでいます。具体的には、量子化学計算(DFT計算)を大学内の研究者に教えてもらい、これを活用して現在研究している反応について、詳細な反応機構の解明に取り組んでいます。将来的には、計算化学に基づいた合理的な反応経路を設計できるようになりたいと考えています。

3. 学部時代から培った英語力(TOEIC 850点)を武器に、海外の大学に3ヶ月間短期留学!留学先で研究成果を挙げることに成功。

2015年8月から10月の3ヶ月間、カナダ・クイーンズ大学のCrudden教授の研究室に、本プログラムの海外インターンシップ制度を利用して、留学しました。これまでの研究テーマとは全く異なるテーマで研究を行ったのですが、パートナーの学生と積極的にコミュニケーションを取ろうとしたのが功を奏して、短期間でしたが一定の研究成果を挙げることができました。研究成果については、2016年3月に開催された日本化学会 第96春季年会で英語発表を行っており、2016年末には共著論文を投稿する予定です。
海外で3ヶ月間も生活するのは初めてでしたが、英語はあまり苦にならず、非常に快適に暮らすことができました。また留学先の学生とは、研究の話をするだけでなく、ホームパーティーなどを通して文化的な交流をすることもできました。この経験を通して、もし将来海外で働くことになったとしても、上手くやっていけるという自信を得ることができました。


写真:Crudden教授(中央)とパートナーを組んだBrian(右)との記念の1枚。左が私。

4. 高校・学部生時代は将棋部に所属し、全国大会に何度も出場!

私の一番の趣味は、5歳の時に始めた将棋です。高校時代には全道大会で準優勝、また学部時代もコンスタントに全道大会で上位に入り、4年間で4回自分の棋譜が北海道新聞に掲載されました。将棋で培った集中力や論理的思考力は、誰にも負けない自信があります。また将棋部では、部長と主将を務め、周囲の人への気配りやリーダーシップを身につけることもできました。 
有機化学の研究には論理的思考力の他にも経験や勘、観察力が必要ですが、論理的思考力が必要という点では、将棋と通ずるものがあり、将棋をやってきた経験が今の研究においてもプラスに働いていると実感しています。


写真:大学の個人戦で対局しているところ。

■論文
Copper(I)-Catalyzed Diastereoselective Borylative Exo-Cyclization of Alkenyl Aryl Ketones
Yamamoto, E.; Kojima, R.; Kubota, K.; Ito, H.
Synlett 2015, 26, 272.
DOI: 10.1055/s-0036-1588354

Copper(I)-Catalyzed Enantioselective Boryl Substitution of Allyl Acylals: An Efficient Approach for Enantioenriched α-Chiral γ-Acetoxyallylboronates
Takenouchi, Y.; Kojima, R.; Momma, R.; Ito, H.
Synlett 2016, Accepted.
DOI: 10.1055/s-0035-1560721

■受賞歴
平成26年度 北海道大学 大学院総合化学院 大塚博先生記念賞
第6回CSJ化学フェスタ2016(日本化学会秋季事業) 優秀ポスター発表賞

※所属・学年等は2017年1月現在のものです。

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