2018
03.20

LEADER’S VOICE 06
初年度に挑んだパイロット生 中村 文彦さん
~限界が消え、出来ることが増えていく~

独立ラボ運営イベントインタビュー海外インターンシップVoice

LEADER’S VOICE 06<br />初年度に挑んだパイロット生 中村 文彦さん<br />~限界が消え、出来ることが増えていく~

北海道大学 大学院理学院 数学専攻 博士後期課程3年

中村 文彦 さん(北海道出身)

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専門研究
脳内の神経細胞の発火現象を記述する数学モデルの研究

●応募までの道のり
化学研究や英語力、アウトリーチ 多彩な経験の中から将来像を考える

高校で数学の“解く楽しみ”に目覚めて、大学院もそのまま数学専攻に進みました。リーディングプログラムのことは修士1年次に指導教官に教えていただきました。前から興味があった化学の専門研究や苦手だった英語力を鍛えられるプログラム、企業インターンシップやアウトリーチも魅力的で、「きっといろんなことを経験しながら自分の将来について考えていける、ぜいたくな時間が持てそうだ」と思い、パイロット生に応募しました。
自分の専門である数学研究とプログラム履修との両立は正直大変でしたが、プログラム生として経済支援を受けていることが「やらねば」という、いい意味での緊張感をかき立ててくれたと思います。


6歳から習い始めた書道は現在準師範。留学先にも筆ペンを持参した。

●海外インターンシップ
6カ国での経験を土台に 堂々と2時間の英語発表

本プログラム在籍中はニュージーランドの語学研修に始まり、計6カ国を訪れました。カナダのマギル大学に初めて行ったときは、「もっと話せたら!」というもどかしさを感じましたが、回を重ねて自分の考えを伝えられるようになると滞在中の充実度も増していきます。日本語でも英語でも結局は “何を伝えようとするか”が重要であることがよくわかりました。
博士3年次にアメリカ・メリーランド大学で英語で行った2時間の研究発表は、とても大きな自信になりました。細部についての質問もあり、「面白い研究をしていますね」と言ってもらえて本当にうれしかった。これからも海外の研究者たちと対話を重ねていきたいです。

カナダ滞在中、受け入れ教員の別荘に遊びに行き、皆でボートタイム。

●独立ラボ運営
数学研究の発展のためにも 研究費の必要性を実感

独立ラボ運営ではニューラルネットワーク研究に取り組み、処理速度が速いサーバの管理やプログラミングを経験しました。国内外の出張先で最新情報や次代の研究へのヒントを同業の方々から直接聞けたことも、いい刺激になりました。
数学は紙とペンがあればどこででも研究でき、実験系の研究と比べると研究費を必要としないと思われがちですが、この独立ラボ運営を潤沢な研究費で支援していただいたおかげで、自分1人では得られなかった知見や人脈が広がり、「数学は研究交流をすることで発展する学問である」という思いが一層強くなりました。今後は研究発展のためにも積極的に競争的資金の獲得に挑戦してみたいです。

●目標とする将来像
自分で限界を設けずに 数学の面白さを伝えたい

数学に苦手意識を持つ大半の方は、「この数式が将来何の役に立つの?」という疑問を持っていると思います。僕の将来の夢は、全ての数式が持つ“意味”をわかりやすい共通言語にして、数学の面白さをもっとオープンに広めていくこと。アウトリーチの場が多いアカデミックでそれを実践していこうと思っています。
博士後期課程にいると、先に社会に出た友人たちと比較して焦りを感じることもありました。ですが現在は、これだけ多彩な経験を積ませてもらった歳月が自信となり、やりたいことを出来る力を蓄えられたように感じています。自分自身で限界を作らないようになれたことも、今後の人生を大きく支えてくれると思います。

※所属・学年等は2018年3月現在のものです。

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