2014年度後期に1期生を対象とした必修科目「フロンティア数理物質科学I」が開講されました。本科目は数理連携のために必要な数学の基礎知識の習得を目的としています。講義内ではさまざまな公式・計算法を取り扱いますが、単なる紹介にとどまらない指導を行います。物質科学系の学科では触れられることのなかった新しい概念や公式について、ただ暗記させるのではなくその概念を考える意義や紹介した公式が成り立つ背景・証明および応用例まで含めた説明を心がけています。
また、教員の板書のみではなく、講義内で定期的にミニグループワークも実施しました。このミニグループワークは、すぐには解答がわからない問題・答えが1つとは限らない問題などについて少人数のグループ内で議論し、順にまとまった意見を発表する形式で実施します。当然、教員の方で少なくとも1つは数学的な答えを準備していくのですが、受講生からは斬新な解答や突拍子もない発想が出されることも少なくありませんでした。学生が主体的に物事を考察する機会を設けることが目的でしたが、それに留まらず教員側もなかなか刺激的な時間となりました。
本科目の内容は来年度前期開講予定のフロンティア数理物質科学IIへと続き、より応用面の話題が増えてきます。フロンティア数理物質科学の講義を通して、プログラム生の皆さんが抽象的な思考力や俯瞰力を身につけることを期待します。
執筆者:黒田 紘敏 (担当教員、リーディングプログラム特任准教授)