2015
05.18

北大ALP・JACST合同シンポジウム「研究成果をなぜ発表しどのように伝えるのか」を開催

公開行事Ambitious研究倫理セミナー

北大ALP・JACST合同シンポジウム「研究成果をなぜ発表しどのように伝えるのか」を開催

平成27年4月28日(火)、物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム(ALP)と科学技術広報研究会(JACST)の共同主催によるシンポジウムが開催されました。学術交流会館大講堂で開催された本シンポジウムは、学内外から140名余が参加し、STAP騒動を議論の端緒として、研究成果をどのように社会へ発信すべきか、研究者と広報が効果的に連帯するにはどうすべきか、研究成果を報道する際のジレンマなど、各界で活躍するジャーナリスト、広報担当者、研究者をゲストに迎え本音のトークが繰り広げられました。

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写真:報道現場の内情を説明する永山悦子氏(㈱毎日新聞社)

山口総長、JACST会長の岡田小枝子氏による主催者挨拶ののち,ALPをコーディネータである石森浩一郎理学研究院長が紹介。議論の枠組みは、新田孝彦本学理事・副学長が「なぜ科学者の倫理なのか~組織と研究者~」と題する基調講演で設定しました。これを受け、中村征樹大阪大学准教授が「研究成果の発表と研究倫理」について紹介。続いて論点提示に移り、STAP騒動が起きた理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(当時)の広報担当であった南波直樹氏が問題発生当時の混乱状況、そこからの学びについて個人的思いを披露。続いて、それを報道する側にいた㈱毎日新聞社STAP細胞論文問題担当デスクの永山悦子氏が、iPS細胞を報道した時の成功体験、iPS細胞に関する森口捏造事件で下した記事化しない判断等を例に、研究成果を報道する「喜び」「苦しみ」について報道現場の内情を説明しました。次に、科学技術コメンテーターとしてメディアでも活躍する近畿大学医学部講師の榎木英介氏が研究現場と社会からの要求の間にあるギャップを実感したエピソードの数々を紹介。さらに、早稲田大学の岩崎秀雄教授から動画配信などによるピアレビューなしの研究成果発信や自宅をラボにするDIY-Bioなど、従来の科学研究のスタイルにとらわれない成果発表の可能性も提示されました。

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写真:ジャーナリスト、広報担当者、研究者による総合討論でファシリテーターを務める小出重幸氏(日本科学技術ジャーナリスト会議 会長)

最後に、日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)の小出重幸会長をファシリテーターとして、論点提示の4名にJACST会長岡田小枝子氏を加えた5人のパネリストによる討論がおこなわれ、日本サイエンスコミュニケーション協会(JASC)の渡辺政隆会長代行、本学で科学技術コミュニケーション教育を推進する高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)協力教員の内村直之氏もコメンテーターとして参加しました。

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写真:主催・共催・協力組織のポスターをホワイエに展示

本シンポジウムは、ALPとJACSTの主催に加えて、JASTJ、CoSTEP、JASCも共催となり、多様な団体の協力で問題を多面的に捉えることができました。懇親会ではシンポジウムでは話せなかったことを登壇者と参加者が直に議論する姿も見られ、科学技術の倫理の基礎から始まり、最先端の実務的事例、さらにその背後の課題まで、ALP学生のみならず教員も得るものが多い有意義なシンポジウムとなりました。

報告:小笠原慎治(ALP協力教員)

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