理学部生物科学科(高分子機能学)では、キャリアパス教育の一環として、2・3年生を対象にした学科イベント「DCは語る」(DC:Doctoral Course=博士課程)を定期的に開催しています。博士後期課程の学生の研究生活や進学経験を聞くことで、進路の一つとして博士後期課程進学を考えてもらうことが目的です。
2026年5月22日は、生命科学院 生命科学専攻 生命融合科学コース 博士後期課程1年の佐藤 芙由(さとう ふゆ)さんが学部3年生に向けて話をしました。
がんの悪化に関わる「4倍体細胞」を研究
人間の細胞は基本的に「2倍体細胞」です。両親それぞれから遺伝情報(ゲノム)を受け継いで、ゲノムを2セット持った状態です。ゲノムの数が2倍になった「4倍体細胞」も存在します。4倍体細胞は進化や発生に関わる一方で、がんの悪性化にも関係していることが知られています。
がん細胞は、細胞同士で接着し、互いを足場にしながら増殖することがあります。私は、がん細胞の接着挙動に、4倍体細胞がどのように関わるのかについて調べています。細胞を育てて顕微鏡で観察したり、ゼブラフィッシュという魚を使って実験したりしています。
迷った末に博士後期課程へ進学
博士前期(修士)課程への進学は決めていましたが、後期課程はかなり迷いました。就職活動の方法や就職先の選択肢が変わってしまうし、博士号取得のために論文を発表しなければならないプレッシャーもあります。大学院進学後に、就職した友人と話が合わなくなり寂しい思いをしたことも、進学を迷う要因でした。
それでも進学を決めたのは、まず研究活動が嫌いではなかったからです。また、論文を出せば、研究者としての自分の名前が後世まで残ることにも魅力を感じました。指導教員である上原亮太准教授の、博士学生を卒業までサポートする姿勢も決断を後押ししました。

ピカっと光るものがあると楽しい
研究って、けっこう大変なことも多いんですよね。トラブルへの対処が終わらないとか、期待した結果が出ないとか。だから一概に「研究が好きです!楽しいです!」とは言えません。それでも、研究を続ける中で、たまにピカって光るものがあるんです。実験していて「あ、これ、めっちゃいいじゃん!」という結果が出る。先生や先輩とディスカッションしていて「なるほど、こういう考え方もできるんだ!」と気付く。そうした瞬間に、この世の真理に一歩近づけたような感覚を持ちます。そして研究の楽しさを感じます。
何に時間を使うかは人それぞれだと思います。時間を費やす価値がある選択肢の一つとして研究もあるよ、ということを伝えたいです。

※肩書、所属、学年は2026年取材当時のものです。