理学部生物科学科(高分子機能学)では、キャリアパス教育の一環として、2、3年生を対象にした学科イベント「DCは語る」(DC:Doctoral Course=博士課程)を定期的に開催しています。博士後期課程の学生の研究生活や進学経験を聞くことで、進路の一つとして博士後期課程進学を考えてもらうことが目的です。2024年11月8日は、生命科学院 ソフトマター専攻 博士後期課程1年の花岡 杏美(はなおか あみ)さんが学部2年生に向けて話をしました。
きっかけはドラマ
進路の決め手になったのは、テレビドラマでした。大学入試センター試験を受けた翌日、観ていたドラマに臨床検査技師が出てきました。病院などで検査を行う医療職ですが、ドラマでは事件現場で証拠集めをしていました。「臨床検査技師って、かっこいい!」と思った私は、志望先を医学部 保健学科 検査技術科学専攻に変更しました。臨床検査技師の免許取得を目指すことにしたのです。
卒業研究を始めてみると、憧れていたのは「科学で何かを明らかにすること」だったと気付きました。「研究って、憧れの本質に近いかも!もっとかっこいいかも!」と思い、研究にのめり込むようになりました。
保健学科での卒業研究を通して、病気に関わるタンパク質に興味を持ったため、タンパク質の構造や機能について深堀りできる生命科学院の蛋白質科学研究室に進学しました。
アレルギーの原因タンパク質を研究
花粉症の患者は、特定の果物を食べたときにもアレルギー反応を起こすことがあります。これは、花粉と果物に含まれるアレルギーの原因物質であるタンパク質の「構造」が、似ているためと考えられています。私の研究では、花粉と果物に含まれるタンパク質の構造の違いや共通点に着目し、「なぜ花粉症が先に起こるのか?」「形は似ているのに、アレルギーを引き起こす能力に差があるのはなぜか?」などの疑問を解き明かそうとしています。これらのメカニズムを解明することで、アレルギーの予防方法や治療法の開発につながる可能性があります。私たちの身近にある「食べ物」と「花粉」の関係に焦点を当てることで、より多くの人々の健康や生活の質の向上に貢献したいと考えています。
博士課程は楽しい
大学院から研究テーマを変えたので、前期(修士)課程の2年間だけでは短いと感じていました。修了後の進路として就職も考えていましたが、研究の面白さに惹かれ、後期課程への進学を決めました。
後期課程では、研究を一から十まで自力で進める経験ができます。やりたい研究だけに集中できる3年間は貴重な時間です。もし研究をしていく中で少しでも興味が出てきたら、後期課程への進学も視野に入れてみてください。