令和元年9月2日から2週間にわたり、北海道大学大学院生命科学院博士課程に在籍する奥村剛士さんが、本社を北海道小樽市に構える光合金製作所(以下、光合金)で企業インターンシップを体験してきました。不凍給水栓の製造で道内トップシェアを誇る光合金。社員の1割が商品開発の関係部署に配属されています。自社開発は、目に見える仕事の証であり、社員の「プライド」だと、社長の井上晃氏は言います。奥村さんは小樽本社、札幌営業所に出向き、研究開発・設計・製造から販売までの一貫した「ものづくり」の過程を体験し、会社の姿勢、考え方を理解することで、光合金が「開発型メーカー」と言われる所以を学びました。
奥村さんの受け入れを担当してくださったのが、嶋田竹敏さん(総務部)です。嶋田さんも入社してすぐは、製造部門を始めとした主要部門を研修で回り、会社の全体像を学んだそうです。現在は総務部に所属していますが、開発・設計から営業・販売までのすべての工程を自社で行っている現場の様子を知ることができたからこそ、現在所属する総務部の仕事への理解が深まったといいます。
「開発型メーカー」と言われる所以を知る 【レポート:奥村剛士】
1週目は光合金の主力商品である「不凍給水栓」がどのように製造され、どこで使われているかを理解するために、工場での製造から営業所でのメンテナンス作業まで、各部署での作業を幅広く体験しました。2週目は設計部・商品開発室において、新製品がどの様に設計されているか、設計されたものをどの様に評価しているのかを学びました。また、品質管理室や知的財産室にて光合金の製造品をどのようにして品質を保ち、管理しているのかを教えてもらいました。
あっという間の2週間でしたが、最終日にはサプライズイベントが用意されていました。僕の専門である「ハイドロゲル」の研究について発表する機会をもらい、多くの社員のみなさまの前で、実物を見せながら、最先端のゲル素材について説明しました。扱っている材料はまったく異なりますが、多くの質問に答えながら「ものづくり」に関わっているみなさんの好奇心は研究者と同じであることがわかりました。
井上晃社長、井上一郎会長とも直接お話する機会をいただき、仕事の後で、食事にも連れて行ってもらいました。興味深い話ばかりでしたが、オイルショック、拓殖銀行の破綻、リーマンショック…と、会社が厳しい状況になった事もあったそうですが、自社ブランドの販売にこだわり続けたからこそ、それらの危機を乗り越えることができたと話す井上会長の穏やかな笑顔が印象的でした。
民間の実験・開発は社会に受け入れてもらうことが条件
インターンシップは初めての体験でしたが、自社製品を一から製造している企業の現場を生で見ることができ、非常に有意義な機会を得ることができました。今まで、大学という研究機関での実験や考え方しか知らなかったため、企業での実験手法の違いに驚きました。大学での研究は必ずしも実用化と結びついていませんが、民間の実験・開発は社会に受け入れてもらうことが条件です。その厳しさを知ることができました。社員のみなさんの仕事への情熱も伝わってきました。光合金の方々が常にお客さまのことを思い、努力や情熱を自社製品に注ぐことで、開発型メーカーとして地元で愛される企業として発展してきたのだと実感しました。このインターンシップでの経験を生かして、将来は企業で活躍できるリーダーになるべく精進していきたいです。
*登場して下