北海道大学大学院 生命科学院では、キャリアパス教育の一環として、学部2、3年生を対象にしたイベント「DCは語る」(DC:Doctoral Course=博士課程)を定期的に開催しています。博士課程の学生の研究生活や進学経験を聞くことで、進路の一つとして考えてもらうことが目的です。2022年10月27日は、生命科学院 生命融合科学コース 博士1年の松浦 暉(まつうら あきら)さんが2年生を対象に話をしました。
松浦さんは、理学部生物科学科(高分子機能学)を卒業後、生命科学院生命融合科学コースに進学し、細胞装置学研究室(上原研究室)に所属、北大DX博士人材フェローシップ生としても活躍しています。
ゼブラフィッシュを介した研究
ゼブラフィッシュを使って細胞分裂の研究をしています。僕がこの研究室に入ったとき、まだゼブラフィッシュはいませんでした。そこでホームセンターに行き、水槽と魚を買って来るところから始めました。
正常な細胞分裂では、一つの細胞から、全く同じ数の染色体を持つ二つの細胞が生まれます。ところが、異常な分裂が起こると、染色体数は元の細胞と違ってしまいます。受精後の胚での染色体数の異常は、赤ちゃんの段階での死や奇形の原因になると言われています。
ゼブラフィッシュの卵に薬剤をかけ、あるタイミングで光を当てます。すると、特定の時間だけ異常な細胞分裂を起きます。光を当てるタイミングによって死亡率や奇形の度合いが変わるので、さらに詳しく調べようとしています。
生物とは何かを追求したい
細胞レベルの研究に興味があって、この研究室に入りました。体内で異常な細胞が生まれてから病気になるまでの間に、何が起こるのかを解明したいです。
将来は研究者を目指しています。もともとは、生物と無生物の境目や、生きているものと死んでいるものの違いに興味を持っていました。生き物を人工的に作ろうとする合成生物学にも興味があります。修了後は、もとからの興味分野についても勉強し、これまでに得た知識と組み合わせてオリジナリティーのある研究をしたいです。
博士課程の魅力
全ての活動が自分のためになるところです。研究を進めれば実験する力や考える力が身につきます。論文を出せば後世に残る業績になりますし、博士号を取れば世界に通じる資格になります。日々のスケジュールは自由に組むことができるので、自分にとって最適な時間の使い方ができて無駄がありません。
外に出よう!
学外でも活動することをお勧めします。僕の場合は、臨海実習に参加して他分野の実験を教わったこと、若手の会(学生や若手研究者の集まる研究集会)の活動を通して他大学の学生と交流したことが、とてもいい経験になりました。
学ぶチャンスは、いろいろなところにあります。みなさんもアクティブに活動して、充実した学生生活を送ってください。