北海道大学理学部生物科学科(高分子機能学)では、キャリアパス教育の一環として、2、3年生を対象にした学科イベント「DCは語る」(DC:Doctoral Course=博士課程)を定期的に開催しています。博士後期課程の学生の研究生活や進学経験を聞くことで、進路の一つとして博士後期課程進学を考えてもらうことが目的です。2024年12月18日は、生命科学院 生命科学専攻 生命融合科学コース 博士後期課程2年の濱田 悠太(はまだ ゆうた)さんが学部2年生に向けて話をしました。
なぜタンパク質は凝集するのか?
「タンパク質の凝集体は病気の原因になる。」そう教わったとき、濱田さんはその背後に隠されたメカニズムに興味を持ちました。学部生のときは、凝集体を分解するための新たなシステム作りの研究をしていましたが、研究を進めるうちに「そもそもなぜ凝集体が形成するのか?」という根本的な疑問が芽生えました。この探究心が、大学院での研究テーマと現在の細胞分子機能科学研究室への転換を後押ししました。
濱田さんの現在の研究対象は、筋肉が動かなくなる病気として知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因となるタンパク質です。この疾患の解明には、凝集体の形成メカニズムの解明が重要です。しかし、凝集体を一つ一つ数えていくのは困難です。そこで現在は、凝集体の数を画像から計測する手法を開発する研究に挑んでいます。この技術が確立されれば、疾患の理解や治療法の開発に向けた新たな道が開けることでしょう。
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苦労の分だけ得るものも大きい
博士後期課程での研究生活は挑戦の連続です。しかし濱田さんは、そこにこそやりがいや魅力があると語ります。「研究を続けていると『なぜ、そうなるのか?』と考える機会が増えるので、探究心が養われます。自由に研究できることや、自分の能力が高まることも博士後期課程の魅力です。」と濱田さん。
また、濱田さんは後輩たちにこんなメッセージを送りました。「もちろん苦労はありますが、その分おもしろいこともあり、得られるものは大きいです。研究を始めてみておもしろさを感じたら、博士後期課程の進学を選ぶ価値は十分にあります。」
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