2025年3月18日(火)、2024年度北海道大学スマート物質科学を拓くアンビシャスプログラム(以下、SMatS)の第2期生(博士後期課程3年次4名)の修了式が理学部大会議室にて執り行われました。このプログラムは、広義の物質科学分野を専門とする大学院生に対して、専門分野の研究にとどまることなく、スマート物質科学力並びに社会実装実現力を養成するものです。修了証書授与のあと、修了した4名がこれまでの活動を振り返って挨拶を述べ、会場から大きな拍手が送られました。続いて、武次徹也プログラムコーディネーター(理学研究院教授)が挨拶を述べ、2期生にエールを送りました。
武次徹也プログラムコーディネーターの挨拶
「専門を越えてつながる視点 〜スマート物質科学で広がる世界〜」
みなさん、修了、本当におめでとうございます。SMatSプログラム第2期生として歩んできた4名の皆さんが、そろってこの節目を迎えられたことを、心から嬉しく思います。
3年前、総合化学院から3名、情報科学院から1名が採用されたのは、今回と同じこの会議室でした。それぞれの専門分野を深めながら、数理・計算・情報を融合させた「スマート物質科学」の視点を身につけ、さらに社会との接点を意識した取り組みにも果敢に挑戦してきた3年間でした。研究と並行して、異分野の視点や産業界との連携に取り組むことは、時に遠回りに感じられたかもしれません。しかし、それらの経験が、皆さんの思考や視野をより柔軟に、そして実践的に育ててくれたはずです。
SMatSでは、専門性と社会実装の両立を目指しています。研究者としての深さに加え、自らの成果を社会にどう届けていくかという姿勢を持った人材は、これからますます重要になっていくでしょう。修了生の皆さんは、まさにその実践者としての第一歩を踏み出しました。現在、プログラム自体も進化を続けています。博士人材フェローシップ「EXEX」との連携により、開始時期をM1の夏に早め、異分野ラボビジットも必修化されました。皆さんの挑戦は、これからのSMatSのスタンダードとして次世代へと引き継がれていきます。それぞれの進路で、SMatSで得た視点や経験を活かし、大きく羽ばたいてくださることを願っています。あらためて、修了おめでとうございます。
2期生 修了生挨拶
宇野 早映さん(総合化学院 総合化学専攻)
SMatSプログラムを通して、専門分野を越えて学ぶ力を身につけることができ、研究の幅が大きく広がりました。とくにスマート物質科学の視点から研究を社会へどう還元するかを考える機会は、自分にとって貴重な学びでした。今後もここで得た知識と経験を基礎に、さらに研鑽を積んでいきたいと思います。これまでご指導くださった武次先生をはじめ、プログラムに関わってくださったすべての皆様に心より感謝申し上げます。
辻岡 一眞さん(総合化学院 総合化学専攻)
博士課程から北海道大学に進学し、SMatSに参加できたことは、自分にとって大きな転機となりました。学部・修士時代を過ごした公立千歳科学技術大学とはまた異なる学びがあり、北大の授業や富良野でのインターンシップなど、非常に実りある3年間でした。4月からは産業技術総合研究所で働くことになりますが、ここで得た学びを活かして、社会に貢献していきたいと思います。武次先生、松尾先生、そしてSMatS関係者の皆様、本当にありがとうございました。
西田 叡倫さん(総合化学院 総合化学専攻)
この3年間、SMatSの多彩なアクティビティを通して、自分自身が大きく成長できたと感じています。なかでも異分野の博士課程の仲間たちと意見を交わした経験は、視野を広げる貴重な時間でした。4月からは化学メーカーでの勤務が始まりますが、SMatSで得た経験やスキルを活かし、将来的には企業とアカデミアをつなぐような人材を目指して努力していきたいです。ご指導いただいた先生方、事務局の皆さまに深く感謝いたします。
町 光二郎さん(情報科学院 情報科学専攻)
スマート物質科学に関連する講義では、自身の専門外である物質科学や計算科学についての理解を深めることができました。また、社会実装実現力に関する学びを通して、研究だけでなく将来のさまざまな仕事にも活かせるコミュニケーション力を培えたことは、大きな成果だと感じています。このような貴重な学びの機会を与えてくださったSMatSの皆様に、心より感謝申し上げます。