2026年3月11日(水)、2025年度北海道大学スマート物質科学を拓くアンビシャスプログラム(以下、SMatS)の第3期生(博士後期課程3年次3名)の修了式が理学部大会議室にて執り行われました。このプログラムは、広義の物質科学分野を専門とする大学院生に対して、専門分野の研究にとどまることなく、スマート物質科学力並びに社会実装実現力を養成するものです。修了証書授与のあと、修了した3名がこれまでの活動を振り返って挨拶を述べ、会場から大きな拍手が送られました。続いて、武次徹也プログラムコーディネーター(理学研究院教授)が挨拶を述べ、3期生にエールを送りました。
修了生挨拶

曲 立豪さん(総合化学院 総合化学専攻)
本日、SMatS第3期生として修了の日を迎えられましたことを、大変嬉しく思います。このプログラムを通じて、これまで触れる機会のなかった分野や、自分一人では関心を持たなかったであろう異分野の講義を数多く受講することができました。そこで得た新たな知識は、自身の専門研究をより深く捉え直し、発展させていく上で大きな支えとなりました。特に印象に残っているのは、「富良野市DX提案実習」です。専門の異なる学生たち、富良野市の皆様、日本オラクルの皆様と協力しながら、一つの提案を形にしていく過程は、通常の研究活動では得難い貴重な経験となりました。立場や専門の異なる人々と協働しながら課題に向き合うことの大切さを、実感をもって学ぶことができたと思います。また、ビジネス関連の講義に参加できたことも大きな刺激になりました。研究とは異なる視点から物事を考える機会を得たことで、視野が広がり、自分自身の可能性を見つめ直すきっかけにもなりました。4月からはポスドクとして新たな一歩を踏み出します。SMatSで得た知識と経験を今後にしっかりと生かし、さらに成長していきたいと思います。
武内 浩輝さん(総合化学院 総合化学専攻)
SMatSを通じて、多くの先生方や関係者の皆様から温かいご指導とご支援を賜りましたことに、心より御礼申し上げます。本プログラムでは、専門研究に加え、数理科学、データ科学、計算化学などを体系的に学ぶ機会を得ることができました。これらの学びは、実験データの解析や現象理解を深めるための重要な基盤となり、博士論文研究においても、超高速ダイナミクスや反応過程を定量的に捉えるための思考の土台として大いに役立ちました。また、トランスファラブルスキル科目を通じて、研究を社会との関わりの中で位置づけて考える視点を得られたことも、大きな収穫でした。中でも、富良野市を題材としたDX提案実習は特に印象深く、社会の現場でDXを実際に機能させることの難しさや、企業、行政、学生それぞれの立場によって課題の見え方が異なることを、実践を通して学ぶ貴重な機会となりました。さらに、国際学会での発表や海外研究者との交流を通じて、研究成果を国際的に発信する経験を積むこともできました。こうした経験により、自身の研究をより広い視野で捉えられるようになったと感じています。今後は、本プログラムで培った数理的思考力と俯瞰的視点を生かし、研究成果を社会へ還元できる研究者として成長していきたいと考えています。
田中 綾一さん(総合化学院 総合化学専攻)
このたびは修了式をご開催いただき、誠にありがとうございます。SMatSでの経験は、私の学生生活をより豊かなものにしてくれただけでなく、自身のキャリアを考える上でも大きな支えとなりました。特に、博士課程の早い段階で「キャリアマネジメントセミナー」や「異分野交流アイデアソン」、「DX提案実習」などのプログラムに参加できたことは、非常に貴重な経験でした。研究室の中だけでは出会えなかった仲間と協力し、社会の現場にある実際の課題に向き合いながら解決策を模索した時間は、難しさもありましたが、それ以上に多くの学びと充実感をもたらしてくれました。こうした経験を通じて、より社会に近い現場で課題解決に関わりたいという思いが強まり、企業への進路を考える大きなきっかけにもなりました。また、多様な視点を持ち寄って一つの問題に取り組む姿勢は、自身の博士研究にも良い影響を与え、研究をより深く進めるための土台になったと感じています。4月からは企業で物質科学の研究に携わる予定です。博士課程で培った専門性に加え、SMatSで得た広い視野とコミュニケーション力を生かし、社会に新たな価値を生み出せる人材を目指して、これからも学び続けていきたいと思います。
武次徹也プログラムコーディネーターの挨拶
「AI時代に求められるスマート物質科学の力」
スマート物質科学を拓くアンビシャスプログラム第3期生の皆さん、ご修了誠におめでとうございます。担当教員一同、心よりお祝い申し上げます。第3期生の皆さんは、3名とも総合化学院に所属し、理論系2名、実験系1名という構成でした。学部4年生から数えれば約6年間、修士1年から数えても5年にわたり、それぞれが同じ研究室で真摯に研究に取り組み、その成果が認められて北海道大学から学位を授与されることは、大変立派なことであり、心から敬意を表したいと思います。

さらに皆さんは、スマート物質科学プログラムに参加し、数理科学、計算科学、情報科学に基づくアプローチを実践的に学ぶとともに、社会とのつながりを意識したさまざまなプログラムにも積極的に取り組んでこられました。そうした経験は、今後それぞれの分野で活躍していくうえで、必ず大きな力になるものと確信しています。
近年、AIの発展には目覚ましいものがあり、わずか1年前と比べても、研究の現場に急速に入り込んできていると感じます。これからは、AIをいかに的確に活用できるかによって、研究の進め方や成果に大きな差が生まれる時代になっていくでしょう。皆さんがこのプログラムで身につけた「スマート物質科学」の力は、AIを効果的に使いこなし、新たな価値を生み出していくための重要な基盤となるはずです。どうか、SMatS修了生としての誇りを胸に、それぞれの道で力強く歩んでいってください。今後のますますのご活躍を心より期待しています。
本日は誠におめでとうございました。

レポート:大津珠子(理学研究院)