高度な科学技術が生活に欠かせない社会において、研究者の力が求められる場は意外に増えてきている。世の中を変えたいと自社で研究活動を始めて間もない企業は、研究者のことをどうみているのだろうか。研究者のためのキャリアイベントであるキャリアディスカバリーフォーラムに参加した、北海道に拠点を置く環境大善株式会社の窪之内誠氏に話を聞いた。(レポート:株式会社リバネス)
窪之内 誠(環境大善株式会社 代表取締役社長)
北海道北見市出身 1976年生まれ。大学を卒業後、18年間ICT機器販売、販売責任者に携わり、2016年に環境大善に入社。代表取締役専務を経て2019年2月より現職。「土、水、空気研究所」所長を兼任。
地球の健康を探究する研究者を求めて
設立15年目を迎える環境大善株式会社は牛の尿を微生物で分解することで生まれた善玉活性水が消臭効果や土壌改良効果を持つことを見出し、メカニズムの解明や用途拡大のための研究を進めている北海道の企業だ。2018年に共同研究先の研究者1名を初めて採用し、さらに2人目の採用を考えている。「土、水、空気と地球の健康を探究することに興味をもつあらゆる研究者が働けると考えている」という窪之内氏は、研究者や関連するアイデアとの出会いを求めて、キャリアディスカバリーフォーラムに参加した。
熱量が就活とは違う
研究者たちとの交流経験があまりなかった窪之内氏は、どんな話をすればいいかとドキドキしながら参加した。当日、発酵、土壌、畜産に関心を持つ研究者たちがブースを訪れてくれた。彼らは「環境大善とどんな研究ができるか」連携の可能性を探していることに気づいた。参加者らは自らの研究テーマを善玉活性水と絡め、質問や提案をどんどんしてくる。すでにある事業や就業環境に関する質問に集中しがちな就職活動の合同説明会とは異なり、参加者と企業が互いに仕事や研究を通して創りたい未来を語り合える場がキャリアディスカバリーフォーラムだった。
自社製品の可能性を拡大する
最も印象的だったのは「絶食」の研究者だ。絶食後の腸内環境と善玉活性水の話を絡め、健康食への展開を提案してくれ、自社で開発した製品の可能性を科学的知識とともに得ることができた。研究者とのコミュケーションのイメージができずに参加したが、彼らは目指すビジョンを共有することで分野を超え、研究のアイデアが湧き上がってくるということもわかった。窪之内氏自身も参加者の視点を通して自社の価値を再発見したのだ。今後は議論をさらに深め、共同研究など仲間として、目指す未来を実現していこうとしている。
企業と研究者が双方から語り、未来を描くイベント、キャリアディスカバリーフォーラム
「キャリアディスカバリーフォーラム」を3月20日(土)に、センターオブガレージ@東京にて実施いたします。本フォーラムは、テクノロジーで未来の世界を実現させるために研究開発を行う企業と、同じく研究で未来の社会をつくる情熱をもつ研究者と議論し、研究者の新たな活躍の場を発見できるプログラムです。双方向にプレゼンし、お互いが描く研究開発を実現させるためにどんな研究が必要になるのかを議論することで、研究者の新たな活躍の場や、技術の思わぬ展開先を見つけることを目指していきます。本フォーラムでは、自らの研究を企業にプレゼンし、自分の研究が社会でどんなことに役立っていくのかを探したい方を募集しています。ぜひご参加ください。
次回開催概要
テーマ:キャリアディスカバリーフォーラム東京「未来を実現する研究を作ろう!」
日 時:3月20日(土) 13:00〜17:00
場 所:センターオブガレージ(〒130-0003 東京都墨田区横川1-16-3)
参加企業
・植物の新たな可能性を引き出すAI植物工場を開発する「株式会社プランテックス」
・研究者のより良い未来を探究する「株式会社バイオインパクト」
・細胞工学とソフトマテリアルで未来をつくる「株式会社セルファイバ」
・知識製造で科学技術の発展と地球貢献を目指す「株式会社リバネス」ほか
発表者募集
ブースセッションにて企業に自分の研究を5分以内でプレゼンし、研究がつながる先や企業のアイデアを加えるディスカッションに参加する人を募集しています。発表者はぜひご登録ください。
おすすめ研究分野
・バイオ/エコ/アグリなどの分野に関心のある人
・自分の研究が社会でつながる先について、アカデミア以外からもアイデアをもらいたい人
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