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「第4回 半導体に夢を持てるのか、輪になって躍ろう北海道!~Society 5.0 を支えるために、未来を展望する~」Part 2

Part1のレポートはこちら

北海道大学で開催した半導体カンファレンス、第4回「半導体に夢を持てるのか、輪になって躍ろう北海道!」。Part2では、研究開発の現場で「アイデアを形にする」挑戦と、大学が描く半導体ユースケース創出のビジョンに焦点を当てます。

アイデアから製品へ——挑戦の現場

3人目に登壇したのは、キオクシア株式会社 AI・システム研究開発センター グループ長の塩沢竜生氏。2000年に北海道大学工学部を卒業し、現在は次世代メモリを用いたシステムの研究開発の最前線を担っています。

塩沢氏は、東芝での無線LAN LSI(Wi-Fi)の研究開発からキャリアをスタートし、社内ベンチャーとして無線LAN内蔵NAND型フラッシュメモリSDカード「FlashAir」を提案、製品化へと導きました。その後、東芝メモリ(現キオクシア)に異動し、「『記憶』で世界をおもしろくする」というミッションのもと、次世代メモリ・ストレージシステムの研究開発に取り組んでいます。キオクシアは現在、世界のフラッシュメモリー市場シェアの約2割を占め、共同工場(Sandisk社と共同)で世界消費量の3分の1を製造する大規模な企業に成長しています。

研究開発には「改善する研究開発(ニーズベース)」と「提案する研究開発(シーズベース)」の2タイプがあると説明。塩沢氏は両方の現場を経験し、現在は提案型の研究開発にやりがいを持って取り組んでいると語りました。

塩沢 竜生氏(キオクシア株式会社 AI・システム研究開発センター グループ長)北海道大学の卒業生で、学生時代は量子集積エレクトロニクス研究センターで半導体プロセスを研究していた。

北海道大学が描くユースケース創出のビジョン

最後に、大学側の立場から北海道大学 副理事/大学院情報科学研究の村山明裕特任教授が、「先端半導体のユースケース創出」に向けた北海道大学の取り組みを紹介しました。eスポーツの例を挙げ、半導体が高度計算・ネットワーク技術を支え、社会革新を生み出してきた存在であることを強調。

北海道大学では、AI情報処理や通信ネットワークに加え、材料・デバイス・微細加工・回路設計・システム応用まで幅広い半導体研究を展開。また、医療、農業、水産、環境など学内の多様な領域が持っている課題を、半導体によるセンシングとAIによって解決する“サイバーフィジカル統合”の研究も進展中。

村山教授は、人材育成こそ大学が担う最重要ミッションであると指摘。とりわけ、半導体を自ら設計する人材だけでなく、「社会の課題を理解し、先端半導体を使って新しい価値を生み出す人材」こそ高度人材であると説明しました。

さらに北海道大学は経済産業省のLSTC(技術研究組合 最先端半導体技術センター)にも参画し、設計人材育成や新事業創出に向けたプロジェクト形成など、学生が実践的に学べる環境づくりも進んでいることを紹介しました。

村山 明裕特任教授(北海道大学 副理事/大学院情報科学研究院)北海道大学の教員と元企業にいた両方の経験から、課題と大学としての取り組みを紹介した。

半導体業界を支える多様な仕事

太田泰彦教授がモデレーターを務めたディスカッションでは、半導体業界で実際に何が行われているのか、登壇者それぞれの仕事を掘り下げることでさらに明らかにしました。

吉川氏は、アーキテクトが設計したチップが仕様通り動くかを検証する役割を担当。複雑なコンピュータの心臓部が正しく動作するかどうかを、ツールを使いながら確認する重要な仕事であると説明。永井氏は、EDAツールが戦略物質として扱われている実例として、中国が米国に対してレアアースを輸出規制した際、米国が中国へEDAツール販売の禁止を発表すると、中国は輸出規制を解除したエピソードを披露し、EDAツールの重要性を裏付けました。太田教授はシノプシスを「半導体産業の影の王者」と評しました。

一方、キオクシアの塩沢氏は、研究・設計・検証・販売までを横断する自身のユニークな立場から、自ら提案した技術が製品となり、市場に届けられるまで責任を持つ“研究者であり事業開発者”であることを話しました。

半導体キャリアを導いた原風景

太田教授は、「半導体人材という言葉だけ聞くと、大きな歯車の一部になるようで違和感がある」と語りながら、当事者側から見ればそれは「エンジニア・研究者・学者としての生き様」だと指摘します。そこから話題は、登壇者それぞれの原風景の話へと移りました。

村山氏は、大学でのレーザー研究成功体験や、シリコンバレーのベンチャーでの濃密な経験を紹介。永井氏は、コンピュータで絵を描く技術への興味からいつの間にか半導体の世界に入り、結果として幸運だったと振り返りました。塩沢氏は、大学で目に見えない半導体プロセスを扱う中で「ナゼナゼを繰り返す問題解決力」が身についたことを原風景として挙げました。吉川氏は、スーパーコンピューター「京」の初電源投入に至るまでに、異分野チームが協力し問題を突破したことに強い達成感を覚え、今もそれが仕事の原動力だと語りました。

チームで挑む、半導体産業の最前線

吉川氏は、半導体人材は非常に幅広い意味を持ち、自身がMBAを取得したのも、大きなプロジェクトを成功させるために組織や周りのグループをどう動かすかを学ぶ必要があったからだと説明。最終的には、人と人との関わりが重要であると強調しました。

塩沢氏は、情報科学、化学、応用物理など多様なバックグラウンドを持つチームをまとめるグループ長として、まずは「人を否定しない」ことを心がけていると述べました。分野ごとの見方の違いを尊重し、そこから組み上げる姿勢が不可欠だといいます。永井氏は、シノプシスのようなEDAベンダーにとって、顧客企業は一緒に作り上げるチームのような関係性だと紹介しました。

一方、村山教授は、企業と大学の研究室におけるチームのあり方の違いに触れました。企業には「いつまでに達成する」という明確な「時間の制約」があるのに対して、大学の研究室には学生の成長を「見守る時間」があると指摘しました。

後半も、エンジニアたちが逆境にいかに向き合い、それを乗り越えてきたか、「生き様」の核心に迫っていくディスカッションが続きます。

Part2以上

Part3のレポートはこちら

主催:北海道大学大学院教育推進機構/Ph.Discover
共催:北大理学研究院/北大半導体フロンティア教育研究機構/北大総合イノベーション創発機構データ駆動型融合研究創発拠点

※肩書、所属は、カンファレンス開催時のものです。

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2026.02.16

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